Friday, July 21, 2017

15) Harry Potter in japanese-अज्काबान का कैदी

ハリー・ポッターはいろいろな意味で、きわめて普通ではない男の子だった。
まず、一年中で一番嫌いなのが夏休みだった。
第二に、宿題をやりたくてしかたがないのに、真夜中に、こっそりやらざるをえなかった。
その上、ハリー・ポッターはたまたま魔法使いだった。
真夜中近く、ハリーはベッドに腹這いになって、頭から毛布をテントのようにすっぽりかぶり、片手に懐中電灯を持ち、大きな革表紙の本(バチルダ・バグショット著「魔法史」)を枕に立てかけて鷲羽ペンのペン先で頁の上から下へとたどり、宿題のレポートを書くのに役立ちそうなところを、眉根をよせて探しているところだった。
「十四世紀における魔女の火あぶりの刑は無意味だった――意見を述べよ」という宿題だ。
それらしい文章が見つかり、羽ペンの動きが止まった。ハリーは鼻にのっている丸いメガネを押し上げ、懐中電灯を本に近寄せてその段落を読んだ。

  非魔法界の人々(通常マグルと呼ばれる)は中世において特に魔法を恐れていたが、本物を見分けることが得手ではなかった。
  ごく稀に本物の魔女や魔法使いを捕まえることはあっても、火刑はなんの効果もなかった。
  魔女または魔法使いは初歩的な「炎凍結術」を施し、そのあと、柔らかくくすぐるような炎の感触を楽しみつつ、苦痛で叫んでいるふりをした。
  特に、「変わり者のウェンデリン」は焼かれるのが楽しくて、いろいろ姿を変え、みずからすすんで四十七回も捕まった。

ハリーは羽ペンを口にくわえ、枕の下からインク瓶と羊皮紙を一巻取り出した。
ゆっくりと、十分に注意しながらハリーはインク瓶のふたを開け、羽ペンを浸し、書きはじめた。
時々ペンを休めては耳をそばだてた。
もしダーズリー家の誰かがトイレに立ったときに、羽ペンでカリカリ書く音を聞きつけたら、おそらく、夏休みの残りの期間を、階段下の物置に閉じ込められっぱなしで過ごすことになるだろう。
プリベット通り四番地のダーズリー一家こそ、ハリーがこれまで一度も楽しい夏休みを過ごせなかった原因だ。
バーノンおじさん、ペチュニアおばさんと息子のダドリーは、ハリーの唯一の親戚だった。
一家はマグルで、魔法に対してまさに中世そのものの態度をとった。
ハリーの亡くなった両親は魔女と魔法使いだったが、ダーズリー家の屋根の下では決して二人の名前を口にすることはなかった。
何年もの間、ペチュニアおばさんもバーノンおじさんも、ハリーを極力虐げておけば、ハリーから魔法を押し出すことができるかもしれないと望み続けてきた。
それが思い通りにはならなかったのが、二人の癪の種だった。
ハリーがこの二年間をほとんどホグワーツ魔法魔術学校で過ごしたなどと、誰かに喚ぎつけられたらどうしようと、二人はいまや戦々恐々だった。
しかし最近では、ダーズリー一家は、せいぜいハリーの呪文集や杖、鍋、箒を夏休みの初日に鍵をかけてしまい込むとか、ハリーが近所の人と話をするのを禁ずるくらいしか手がなかった。
ホグワーツの先生たちが休暇中の宿題をどっさり出していたので、呪文集を取り上げられてしまったのはハリーにとって大問題だった。
レポートの宿題の中でもとくに意地悪なのが、「縮み薬」に関するもので、ハリーの一番の苦手、スネイプ先生の宿題だった。
レポートを書かなかったら、ハリーを一ヶ月処罰する口実ができたと大喜びすることだろう。
そこで、ハリーは休みに入ってから最初の週にチャンスをつかんだ。
バーノンおじさんもペチュニアおばさんもダドリーもみんな庭に出て、おじさんの新しい社用車を(同じ通りの住人がみな気づくよう、大声で)誉めそやしていたそのすきに、ハリーはこっそり一階に下り、階段下の物置の鍵をこじ開け、教科書を数冊ひっつかみ、自分の寝室に隠したのだ。
シーツにインクのしみさえ残さなければ、ダーズリー一家にハリーが夜な夜な魔法を勉強しているとは知られずにすむ。
ハリーはおじ、おばとのいざこざを、いまはぜひとも避けたかった。
二人がすでに険悪なムードになっていたからだ。
休暇が始まってから一週間目に、魔法使いからの電話がハリーにかかってきたという、たったそれだけの理由で。
ロン・ウィーズリーはホグワーツでのハリーの親友の一人で、家族は全員魔法使いという家柄だった。
つまり、ロンはハリーの知らないことをたくさん知っていたが、電話というものは使ったことがなかった。
バーノンおじさんが電話を受けたのがなんとも不運だった。
「もしもし、バーノン・ダーズリーだが」
ハリーはそのときたまたま同じ部屋にいたが、ロンの答える声が聞こえてきたとき身も凍る思いがした。
「もし、もし?聞こえますか?僕――ハリー――ポッター――と――話したいくの――ですけど!」
ロンがあまりの大声で叫ぶので、バーノンおじさんは跳び上がり、受話器を耳から三十センチも離して持ち、怒りと驚きの入り混じった表情で受話器を見つめた。
「だれだ!」
おじさんは受話器の方向に向かって怒鳴った。
「君はだれかね?」
「ロン――ウィーズリーです!」
ロンも大声を返した。まるで二人はサッカーの競技場の端と端に立って話し合っているようだった。
「僕――ハリー――の――学校――の――友達――です」
バーノンおじさんの小さな目がハリーの方にぐるりと回った。
ハリーはその場に根が生えたようにつ突っ立っていた。
「ここにはハリー・ポッターなどおらん!」
怒鳴りながら、受話器が爆発するのを恐れるかのように、おじさんは今度は腕を伸ばしきって受話器を持っていた。
「なんの学校のことやら、わしにはわからん!二度と連絡せんでくれ!わしの家族のそばによるな!」
おじさんは毒蜘味を放り投げるかのように、受話器を電話に投げ戻した。
そのあとのやりとりは最悪中の最悪だった。
「よくもこの番号をあんな輩に――おまえと同類の輩に教えたな!」
バーノンおじさんはハリーに唾をまき散らしながら怒鳴った。
ロンはハリーをトラブルに巻き込んだと悟ったらしい。
それから一度も電話をかけてこなかった。ホグワーツ校でのもう一人の親友、ハーマイオニー・グレンジャーもまったく連絡してこなかった。
ロンがハーマイオニーに電話をかけるなと警告したのかもしれない、とハリーは思った。
だとしたらすごく残念だ。ハーマイオニーはハリーの学年で一番の秀才だったが、両親はマグルで、電話の使い方はよく知っていたし、恐らくホグワーツ校の生徒だなんて電話で言ったりしないセンスは持っているはずだ。

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